CASE
富士通製オフコンをリホスト方式でオープン化
資産棚卸により、業務で使用していないCOBOL資産を約23%削減
資産を明確化することで、後続工程の工数やリスクを抑制

課題・要望
- 2031年3月末にサービス終了となる富士通製オフコンのシステム移行が急務
- 現行資産を活かし、現行業務を維持しながら、新たな基盤へ安全かつ円滑に移行したい
- 長年の運用により現行システムがブラックボックス化し、全体像を把握できていない
効果
- リホスト方式により業務影響を抑え、短期間・低リスクでオープン環境への移行が可能
- 現行のCOBOL資産をNetCOBOLへ移行し、業務互換性を確保し、新たなオープン環境へ円滑に移行
- 資産棚卸により現行資産の全体像と移行範囲を可視化し、後続工程で発生するリスクを抑制することができるため、計画精度が向上
法人概要と富士通製オフコンのサービス終了への備え
自動車のゴム部品や樹脂部品を開発・生産
自動車・自動二輪車向けに、防振・密閉などの目的に利用する多様なゴム・樹脂製品(部品)の研究・開発・製造・販売に携わっている大塚ポリテック株式会社(以下 大塚ポリテック)。現在は電気自動車やハイブリッド車のバッテリー周辺に使用されるゴム製品を開発・生産するなど、時代の変化に対応しつつ、業界の需要に応えている。また、自動車関連で培った技術を生かし、土木建築資材やエレクトロニクスなどのさまざまな分野に向けて高品質な製品を供給。「ものづくり」「地球環境」「労働環境」の3つを主軸に、高い技術力と環境配慮の姿勢で地球と社会に優しい製品づくりに取り組みながら、自然との調和を目指している。
富士通製オフコンのサービス終了を見据え、将来に向けた検討が急務に
大塚ポリテックは、製造業として長年にわたり富士通製オフコン上で基幹業務システムを運用してきた。安定性と信頼性を重視したシステム運用により、日々の業務を支えてきた一方で、富士通製オフコンのサービス終了(2031年3月末)という将来リスクが現実的な課題として浮上していた。システムの更改には長い準備期間と多大なコストがかかる。そのため同社では、「いつか検討しなければならない」ではなく、「今から計画的に考える必要がある」という認識を強めていった。
しかし、開発に要する期間や費用面などを考慮すると、まったく新しいシステムへの移行は現実的ではない。やはり、現行資産を活かして現行業務を維持しつつ、ハードウェアの保守切れを意識しない新たな基盤に移行するのが理想だ。富士通製オフコンのサービス終了時期を見据えると、2029年までには移行を終えて安定稼働させるのが望ましい。また、将来のシステム基盤について検討が必要だった。
COBOLからNetCOBOLへ
現行資産を有効活用した提案
課題解決が期待できる資産棚卸
大塚ポリテックの課題に対し、最善の提案をしたのがシーイーシーだった。シーイーシーはマイグレーションサービス「Re@nove(リノーブ)」を展開しており、オフコンの移行にあたっての実績や知見が豊富。しかも、アプリケーション資産の移行だけでなく、帳票・他システム連携などの周辺機能、移行後の保守、さらにインフラ構築からデータセンターまでワンストップで支援できる。将来のシステム基盤の検討をしていた大塚ポリテックは、データセンターを含めた総合的な提案を評価し、富士通製オフコンの移行をシーイーシーに依頼した。
そのシーイーシーが提案したのがリホストマイグレーションだ。現行資産の業務プロセスおよびプログラム言語(COBOLからNetCOBOLへ)を有効活用し、ハードウェアの保守切れを意識しないオープン環境にCOBOL資産を移行する方式で、高品質・高効率・低リスクでの移行が可能。さらに、既存業務に精通したCOBOLエンジニアも活かすことができる。
こうしたメリットに加え、大塚ポリテックはリホストマイグレーションの前段で行う資産棚卸を高く評価した。資産棚卸とは、潜在する移行リスクや資産の有効活用度合いを可視化し、最適な移行方針を策定するフェーズだ。資産棚卸によって現行資産の全体像を把握できるとあって、懸念していた課題は解決に向けて、一気に前進した。
資産棚卸プロセスと効果
過不足資産と重複資産を調査
早速、大塚ポリテックとシーイーシーは2025年12月から資産棚卸に着手した。資産棚卸の具体的な作業内容は図1のとおり。富士通製オフコンの各種資産の抽出を大塚ポリテック側で行い、それをシーイーシーに提供する。シーイーシーでは受領資産一覧を作成し、ツールを用いて過不足資産調査と重複資産調査を実施。この調査に基づき、受領資産を不要資産、重複資産、不足資産に分類し、一覧表およびCOBOL階層図を作成する。不足資産があれば、資産の再提供と再調査を複数回繰り返し行う。
本来、資産棚卸における資産の再提供と再調査のやり取りは3回前後が一般的だが、大塚ポリテックとのやり取りは10回におよんだ。その理由は、資産規模が大きかったこと、全体像の認識が異なっていたことによる。実際、最終的に調査した資産は、最初にシーイーシーが受領した資産から2倍にまで増加していた。これに伴い、資産棚卸には3カ月(通常は2カ月程度)を要した。長年の運用で蓄積された大量のCOBOLプログラムにより、実際に使用されている資産と、すでに使われていない資産が混在していたため、移行時に影響を及ぼす非互換要素の存在が現行の資産として認識されていなかったことも要因の一つである。しかしこの資産棚卸をしっかりと行うことが、後続工程の手戻り防止につながる。

●図1 資産棚卸工程概要
COBOL資産だけで約23%の削減が可能
資産棚卸の効果は絶大で、何より現行資産の全体像を見事に可視化することができた。とくに大塚ポリテックでは、数値化できた点を高く評価している。具体的には、業務的に使用していないものを特定したことで、COBOL資産だけで約23%の削減を実現。資産がコンパクトになることで、移行費用の削減や業務効率化の期待が大きく高まった。

●図2 資産棚卸の削減効果
また、資産棚卸の次のフェーズである調査・分析の精度が高まるため、変換フェーズで不足資産が発見された場合の手戻りを最小限に抑えられる。さらに、今回の資産棚卸を通じ、資産を可視化することで大塚ポリテックのシステム担当メンバーに情報共有を図ることができた。このことは、属人化の解消につながっていくはずだ。
今後の展開
2029年の安定稼働を目指していく
調査・分析フェーズでは、現行資産の構造や動作環境を分析し、移行における非互換要素を明確化する互換性調査を行い、プログラム変換に向けた移行設計、ツール改修や手動での対応を組み合わせた最適な移行方法でプログラムを変換するコンバージョンへと進んでいく。最終的には、総合テストを通じて障害対応やQA対応を行い、移行後のシステム品質を確認する本番移行支援フェーズとなる。ロードマップでは、2027年12月に本番移行を行う想定だ。
本番環境は、24時間365日監視&常駐SEによる万全の運用体制、堅牢な災害対策・セキュリティを備えた高信頼な運用基盤を有しているシーイーシーデータセンターでの運用を予定している。ロードマップ通りに進めば、2029年までには安定稼働するはずだ。資産棚卸を終えた今、大塚ポリテックはシーイーシーの支援を得てリホストマイグレーションのフェーズを着々と歩んでいる。
大塚ポリテック株式会社
- 1948年、東京都台東区にて大塚ゴム工業所として設立。現在は自動車・自動二輪車向けに、防振・密閉などの目的に利用する多様なゴム・樹脂製品(部品)の研究・開発・製造・販売を展開。国内生産拠点は福島の大越工場と小野工場の2カ所、海外生産拠点として中国とフィリピンに工場を構えている。今後はEV化に関する技術開発、非自動車分野の顧客との取引拡大に取り組むとともに、SDGsに注力しながら、理念の「新たな時代を切り開いていく」を目指していく。
- 本 社 :〒355-0811 埼玉県比企郡滑川町大字羽尾4962番地
- 代表者 :代表取締役社長 大塚 亮
- 従業員数:1,205名(本社および全工場の合計/2024年12月現在)
- 事業内容:自動車用・工業用、ゴムおよびプラスチック製品の開発・製造・販売
- URL :https://www.poly-tech.co.jp/
※記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。